前回、鍼灸マッサージについて紹介させてもらい、多くの方が持たれているであろう鍼・灸・マッサージのイメージ。『痛そう・熱そう。怖い』などなどのイメージが少しは払拭してもらうきっかけになったでしょうか。
とはいえ、これはなかなか文章で読んだからといって変わるものではないですよね。感覚の領域ですから。実際に治療をすることで本当にイメージが変わるものなのかどうか初めてわかるものだと思います。
ただ鍼灸マッサージってこんなものなんだと、何だと何となくでもわかってもらえたら嬉しいなと。そんな気分でございます〜( ̄▽ ̄)
さて!鍼灸マッサージというものを簡単に知ってもらったところで、今回は【鍼灸マッサージ師】という職業についてのご紹介。
資格
必要資格
- はり師
- きゅう師
- あん摩マッサージ指圧師
鍼灸マッサージ師はこの3つの国家資格が必要です。
3年以上の養成校(大学または専門学校)に通い、東洋医学や解剖学、生理学などといったことを学び、3つの国家資格の試験を同時に受けるのが一般的です。合格率は全国平均で例年約70〜80%とされています。
ここで一つポイントなのが、はり師・きゅう師の資格を取得出来る養成校は多くありますが、【あん摩マッサージ指圧師】の国家資格を取得出来る学校は全国的に見ても多くない(盲学校を除く)ということ(おそらく全国で数校〜十数校ほど)。
なので、あん摩マッサージ指圧の資格が取得出来る学科は入学時の倍率が結構高めです。因みに僕が受験した際は約10倍と言われていました。定員も多くないはずなので、貴重な資格ではあると言えますね。
仕事内容
鍼、灸、マッサージを用いて、患者様の怪我や病気などの治癒・予防のサポートを行います。
症状に合わせて施術は行いますが、痛みや問題がある場所に刺激を与え、治癒の促進や身体の不調を未然に防ぎます。この刺激をする場所はその症状によって様々です。経穴(ツボ)を使うのか、筋肉や筋肉を覆っている筋膜を狙うのか、リンパの流れを利用するのか、皮膚への刺激を用いるのか。施術家がその時、その症状に適するアプローチの仕方を判断し、施術を行なっていきます。
前回の記事でも紹介したように、一番は【人間が本来持っている自然治癒力や自己免疫力を高める】というのが、根本の目的でもあります。なので、薬と違って、治療するにあたって副作用が少ないです。実際に赤ちゃんから高齢者の方、アスリートや妊婦の方まで幅広い方の治療を行えることが強みですね。
注目すべきはここ!!
ここでこの職業の注目ポイントについて、3つのここが凄い!をご紹介したいと思います。
独立開業権
鍼灸師・鍼灸マッサージ師は自分の治療院を開業することが出来ます。進む道は人それぞれですが、多くの方が開業を先に見据え、専門学校に通い、卒業後に治療院に勤めて知識や経験、技術を高めていくのが一般的でしょう。
もちろん開業出来たからといって成功するとは限りません。開業しても長く続かない治療院が全国的に多いのも事実。夢がある職業ではあるかもしれませんが、厳しい現実があることに変わりがないです。でも、それはどんな職業でも同じですよね。
手に職の世界であり、人の身体に携わらせてもらう職業なので、大変で難しいこともたくさんありますが、しっかりと技術と経験、知識を積むことで、自身の治療院でもたくさんの方の力になることが出来る職業です。
“未病”を治すことができる
“未病”って聞いたことありますか?
東洋医学では、病気や怪我をする手前の状態を“未病”といいます。とは言っても、「病気や怪我をする手前の状態ってどんな状態よ?」と思いますよね。イメージは湧きますか?
皆さんこんな事ってないでしょうか?
『病院で検査したけど異常はなかったのに調子が悪いな〜🤔』
これが未病に該当するものです。何が原因かわからないのに、何故か体調が悪い・良くない。このような、症状を発症する前の段階、つまり身体の不調を起こす前の段階で未然に防ぐことが出来るのが東洋医学です。
この特性を活かし、免疫力を高め体調不良や病気(風邪や便秘、浮腫み、肩こり、膝痛、腰痛など)の予防、アスリートのコンディションの維持(筋肉の過度な緊張除去、疲労除去など)に鍼灸治療を行う機会も増えています。
患者さんを診て治療を行う医療
「病院でも患者さんを診るじゃん。同じやろ?」
その通りです。もちろん病院でも患者さんを診察して、診断します。ただ西洋医学と東洋医学では、【診方】と【アプローチ(治療方法)】が違います。
西洋医学
- レントゲンやMRI、CTなどを用いて悪い部分を視覚化する。場合によっては除去する。(ex;腰椎分離症などの診断、腫瘍の確認と摘出など)
- 薬を用いて身体の調子を整える・維持する(ex;血圧を下げる薬、血糖値を下げる薬など)
東洋医学
- 手の感覚や鍼・灸を用いて治療を行う
- 症状の話を詳しく聞き、患者さんの背景(既往歴、家族歴など)をしっかりと知る
- 患部だけでなく、身体全体を診る(ex;身体の動かし方、筋肉の付き方、筋肉・関節の硬さ・柔らかさ、症状と経穴(ツボ)との関連など)
このように西洋医学と東洋医学では得意とする分野が異なります。
僕たち鍼灸師・鍼灸マッサージ師は患者さんの症状を聞き、痛みの感じ方を聞き、背景を知り、どんな人かを知り、自分の手の感覚と知識、経験、患者さんからの話を聞きながら治療を行います。まるで患者さんと一緒に治療をするように。
でも、あくまでも僕たち鍼灸師・鍼灸マッサージ師は、レントゲンを撮ったり、手術を行い、身体の中を確認することは出来ません。ですが、ドクターはそれが出来ます。だからこそ、西洋医学と東洋医学を上手に連携させて治療を行うことが出来れば一番効果的な治療が出来ると思うのです。
東洋医学はとても奥が深いです。当たり前ですが、人によって症状の原因が違うので、治療の仕方も変わってくることも多々あります。ですが、西洋医学だけではどうしようもない不調にアプローチをかけられるんです。
苦悩ももちろんありますが、誰かが健康でいられるサポートが出来る喜び、患者さんが喜んでくださることへの喜びを知ると抜け出せなくなりますよ(^^)
人の身体を一時的にでも預かる仕事。
だからこそ、大変で難しく、責任重大な仕事。
だからこそ、患者さんが喜んでくださる姿も見ることが出来る素晴らしい仕事。
以上、鍼灸師・鍼灸マッサージ師についてでした!!
おしまい。